手や腕の怪我に関する処置の基本とQ & A

外傷処置の基本原則

1)止血処置
出血部位を圧迫して止血する。動脈損傷はその上流側(心臓に近い側)を縛って止血する。静脈損傷による出血であれば、通常数分間の圧迫で止血できる。
2)骨格の安定
腕、手足に骨折や関節の脱臼、靭帯損傷があればその部位は不安定で痛みが強く、以後の処置が出来ない。副木などを当てて安定させることが重要で、これにより疼痛が軽減して以後の処置がしやすくなり、事故現場からの移動もしやすくなる。
3)創部を清潔に
清潔な水(水道水で十分)が使えるなら、できる限りそれで洗い流す。山の清水や透明な井戸水でも良いが、水溜りの水などは避ける。出来るだけ何度も大量の水で創部の奥まで洗い流す。出血したら再度圧迫止血し、できるだけ清潔な布や包帯で覆う。創傷被覆材などがあればベスト。
4)患肢挙上
患部を出来るだけ高く保つ。心臓より高くすると腫れにくく出血も少ない。
5)医療機関を受診
1)~4)で創部が落ち着くようなら必ずしも緊急受診は必要ないが、痛みや腫れが続いたり、自分の意思の通りに動かせない(麻痺している)場合には、医療機関を受診することが必要。
(なお、これらは怪我人自身や周囲の一般人で処置できる範囲の怪我を想定しており、命に関わる重傷患者についてはむろん救急搬送を優先してください。)


手や腕の怪我をされて不安に思われている方からの質問をお受けします

1)こんな時にどうすればいいのか。

Q1:廃材で手を怪我してしまいました。どう応急処置すればいいですか?
A1:創部に廃材などが残っていれば、できるだけ取り除いた上で、まず清潔な大量の水で洗ってください。出血したら数分間圧迫して止血し、再度洗ってください。必ずしも消毒薬は必要なく、洗うことが重要です。出血が止まらなければ医療機関を受診してください。

Q2:怪我のあと、腕や指が腫れて感覚がなくなってきました。動かそうとしても動かせません。
A2:血管や神経を損傷している可能性があります。早急に医療機関を受診してください。長時間腕が材木などに挟まっていると、その間の循環障害によって筋肉や神経が障害を起こしていることもあり(クラッシュ症候群、コンパートメント症候群など)、緊急に専門機関での治療が必要です。

Q3:応急処置して2日ほど経ちましたが、傷が赤く腫れて痛みが強くなってきました。
A3:創部が化膿している可能性があります。応急的には塞がりかかった傷を拡げてでも水で洗うのが良いですが、とにかく医療機関を受診してください。

2)こんな時にはどこへ行けばいいのか

Q4:怪我をした。不安なので専門医に見て欲しい。
A4:まずは近くの整形外科医(外科医)を受診してください。その上で専門医受診が必要か、その場合どの分野の専門医がいいか、などアドバイスしてもらえると思います。

Q5:骨折部の固定を受けたが、その後も痛みが続き、むしろ強くなっている。手もしびれてきた。
A5:腫れのために神経や血管が圧迫されていることがあります。早急に医療機関を受診してください。ギプス固定を受けた場合など、一旦ギプスを切ることが必要な場合があります。整形外科を受診してください。

3)この地区ならどこの病院に手外科専門医がいますか

Q6:地元の医療機関を受診したところ、「手や神経の専門医に見てもらいなさい」と言われました。この辺りではどこで見てもらえますか?
A6:このHP内に手外科専門医とその勤務病院のリストがあります。参考にしてください。
http://www.jssh.or.jp/ippan/senmon/senmoni-meibo.html
現地での診療状況は直接医療機関に確認いただくか、各自治体の「受診対応状況」等でご確認ください。

4)参考サイト 外部リンク
■KOMPAS(慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト)